|
「大事に育ててきたとうもろこしを、虫にやられたこともあった。それでも、あきらめなかったのは、私が育てたとうもこしを『おいしい』と言ってくれるお客様たちの声があったからだね」と笑う渡部さん。その情熱は、とうもろこしの育て方にも息づいています。とうもろこしは、1本の茎に3本の実がなる作物です。 しかし、渡部さんたちは、3本のうち2本を間引いて、1本だけを商品として育てます。 これは、栄養やおいしさを1本の実に集中させるため。もちろん、3本収穫したほうが、収入は大きくなります。でも、渡部さんたちにとっては、3本の普通のとうもろこしを育てることよりも、1本だけ特別においしいとうもろこしを育てる事のほうが大切なのです。
また、渡部さんはとうもろこしの実が熟れてきて、斜め45度に傾いた瞬間を選らんで収穫します。 44度でもなく46度でもなく、45度。 「この角度こそが、とうもろこしが最もおいしくなる時期」ということを、これまでの経験と勘で知っているからこそ、渡部さんは45度にこだわります。 しかも、45度になるのはたったの3日間だけ。6万本のとうもろこしの中から、45度のものだけを見つけ出して収穫するのは、とても手間のかかること。
「でも、面倒くさいなんて言ってられないよ。だって、今年も私たちが育てたとうもろこしを心待ちにしてくれているお客様がいるんだ。そんな人たちに、おいしくない物をお届けして、ガッカリさせたくはないしね」ずらりと並ぶとうもろこしを眺める渡部さんの眼差しは、育ち盛りの可愛い我が子を眺める父親のような、慈愛に満ち溢れていました。
|