■ テレビ
・TBS系列 「チューボーですよ！」「はなまるマーケット」

■ 雑誌
・Hanako、婦人画報

■ 書籍
・文藝春秋「東京いい店うまい店」
・dancyu「全部うまい店」

すると目の前に、お皿がコトリと置かれました。
ハッと息を呑むほどの美しさ。私たちは思わず、吸い寄せられるようにして、、、

色、香り、味。点心のおいしさは、この3つにありました。

それぞれが高めあい、見事な三角形を結ぶとき、
たった一個の点心でも、驚きと感動をおぼえることができるのです。

・・・香港で点心をいただいたんですけどね。
どのお店で食べても、同じような感じがしたんです。

いえ、大変おいしかったですよ。
でも、何かが足りないと思いましてね。
わたくし、考えたんです。
手作りで、本当においしい点心を作ろう。
本場にもない、うち独自の味を作りだそうって。

そのためには、腕の立つ人がほしかった。

当時、香港に有名な点心師がいると聞きまして、
ちょうど、前のお店をやめたというじゃありませんか。

他のお店からいくつもお誘いがあったようですが、
無理を申しまして、櫻花亭に呼んだんです。

それが、曾国容さん。　35年のベテランで、本場香港でも、
一級点心師の資格を持つほどの方ですが、
意気投合してくださいましてね。

日本の点心を、櫻花亭ならではの点心を作ってみせようと、
どっしり構えてくださいますの。

厨房にお邪魔すると、 手がけていらしたのは、ほうれん草の餃子でした。 香港にも、かぼちゃなどを使った餃子はありますが、 ほうれん草を使ったものはありません。 それだけに、開発までには相当の苦労を重ねたんだとか。 匠の技を拝見しましょう。

（1）  ジュッジュ、ジュジュ、、、きれいなグリーン色になるまで、ほうれん草を煮詰めます。 おたまをふる間合いがリズミカル、パワフル。 これぞ中華の情熱。

（2）  煮詰めたほうれん草を浮粉（＝小麦粉のでんぷん）に混ぜ、生地を作ります。 ここからが、とにかく素早いんです。 皮に鮮やかな色を出すには、熱々に煮込んだほうれん草を、一気に練りこまなくてはダメなんです。

（3）  熱い、けれど早い。 やっぱり熱くて、それでも早い。

（4）  みるみる全体に行き渡る、鮮やかなグリーン。 あっという間に、くるくる伸ばされてゆきます。 色も「旨い」も渾然一体となる瞬間。 ここまで、わずか1分30秒。

（5）  各地から取り寄せたエビやニラの中から、香りと旨みが抜群のものを選びぬき、じっくり調味。 ひと晩寝かせて、味を染み渡らせた具材を、やっぱり素早く包んでゆきます。 熟練の寿司職人を見るような、美しい指さばきでした。

お店では、コース料理に必ず組み込まれるほどの、自慢の点心たち。

オーナーの思いと一級点心師の技が結びついた、
芸術といっても過言ではない品々でした。

それだけに、1日あたり作ることのできるのは、たったの30セットほど。
まずはタレをつけずにそのまま、素材の旨みをお楽しみください。
えもいわれぬ感動をおぼえていただけるはずです。

ご家庭のホームパーティーに、おもてなしに、ご贈答に、
名店の味わいをぜひご堪能ください。