熊本県 不知火（しらぬい）湾を望む
高台にある「鶴田有機農園」。

海から吹き上げてくる風と
お陽さまの光をたっぷり受けて、
この時期、
みかんがたわわに実ります。

ここまで大きく育つのは、
生半可なことではありませんでした。
嵐が来たり、カミキリムシに狙われたり・・・。

しかし、どんな時も、
“農園のお母さん”ほとりさんや、次男の正徳さんをはじめ、
沢山の人々が温かく見守り、
世話を焼いてくれました。

雨の日も、風の日も、晴れの日も。

栄養たっぷりの肥料を含んだ大地にしっかり根を張り、
風の音や鳥の声、人々の語らいにも耳を澄まし、
お日様の光を満身に浴びて。

みかんたちは、すくすく育ちました。

里におりてきたみかんたちは、
農園の人々の手によって、大切に、慎重に、
選別され、箱詰めされます。

選果を担当するお母さんは言います。

「これまで大切に育ててきたみかんたちだからね。
　娘のようなもんだよ。
　お嫁に出すような気持ちで送りだしてるよ」

見栄えが良いよう、丁寧に選別され、
心を込めて箱詰めされていく姿。

そう、これはまるでみかんの嫁入り。

熊本の自然と人々の愛情に育まれ、
みかんたちは、今、お客様の元へ旅立ちます。

目にも鮮やかなみかんの色合い。
芳しい柑橘アロマ。

そのみかんがどんな品種なのか一目でわかるように
名前と説明文を書いた、
小さな紙片を入れるのも忘れません。

季節ごとの産地の様子を伝える
「みかん山便り」は、
農園の香りを少しでも感じてほしいと思って
皆で工夫を凝らしたもの。

そして最後に、ほとりさんたちから、
喜びのエッセンスをもう一さじ。

でも、それが何なのかは内緒です。
何故なら、
やっぱり箱を開けた時にビックリしてほしいから・・・。